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厭世書生の読書日記

主にSF、海外文学

J・G・バラード短編全集2 (歌う彫刻)/J・G・バラード

 

 

短編とは言え18編も詰め込まれているので中々に読み応えがあるがそのどれもに鬼才バラードの才能が遺憾なしに発揮されてる魅力的な短編集に仕上がっている。

バラード特有のオブセッション的構成要素は長編“終末三部作”『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』などバラード作品を読み解く上での重要なファクターとなるが、この短編二巻ではうまい具合にこれらをさらってくれているように思われる。長編の互換性を持つような短編も多数収録されているので、長編を既読の方には既視感ならね既読感を持って本作をお読みいただける事だろうと思う。バラードを読んだことのない方でも本作でバラードという作家の雰囲気を感じとることが出来るだろう。初心者にも良し、バラード熟読者にも良し。気軽に手を出してほしい。

個々の魅力はどれも個性的でまさにニューウェーブアソートとでも言うべきだろうか?抽象絵画めいた一品から狂騒コメディー、社会示唆じみた作品まで。バラエティーに富んだ傑作短編だと言わせてもらおう。多岐にわたるバラードの造詣深さには感服するばかりだ。空疎な絵空事には終わらないバラードの力作揃いである。買わない手はないぞ!