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厭世書生の読書日記

主にSF、海外文学

百年の孤独/ガブリエル・ガルシア=マルケス

 

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

 

 

南米の架空の町『マコンド村』の開拓者の一員、ブエンディア家の奇妙な百年の歴史。

超人的なジプシー「メルキアデス」にもたらされるにわかには信じられない文明。

錬金術や発明に取りつかれた男。情愛と淪落の破滅。殺戮の夢幻。


奇妙な事象がさも現実のように語られる。

チョコレートを飲んで空を飛んだりする神父。

姿を見せるだけで相手を籠絡し死へ至らしめる美しき娘、

そして何故かその娘は突然昇天してしまう。

摩訶不思議にも程がある。

日常と非日常の境界がぼやけ、物語に不思議と調和をもたらす。

この一家の歴史は止めようのない歯車であること、また、軸が容赦なく徐々に摩滅していくことが無ければ、永遠に回転し続ける歯車であることを知っていた。

作中のこの言葉の通り孤独と惨劇の円環の歴史に囚われた一家は約百年の孤独をもって、メルキアデスの残した羊皮紙の暗号通り、最後の悲劇を終わりの符号として物語は幕を閉じてしまう。

 

本書を読んで重厚な、今までにない手ごたえを感じることが出来た。恥ずかしながら私は今まで南米文学というものに手を出したことが無く、本書はまさしく未知の領域だった。目新しさと共に純粋かつ重厚な文学と出会えたことを嬉しく思う。既読のジャンルにない不思議な読後感のある貴重な読書体験となった。