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厭世書生の読書日記

主にSF、海外文学

スターメイカー/オラフ・ステープルドン

 

スターメイカー

スターメイカー

 

  想像力の眼で宇宙を駆ける観測者の話。主人公は純粋な精神と化し、至高の創造主スターメイカーを求め旅立つ、いわゆるヴィジョン巡礼という類の小説。

 私は初めてこの小説を読み、感じたのはある種の法悦だ。想像力の飛翔は読者を無我の境地へ誘い、宇宙の神秘の鱗片を見せる。心を囚われる壮麗なヴィジョンがそこにある。俯瞰視点の壮大な宇宙観と体系の美、心をときめかさずにはいられない。宇宙系のSFが好きな人に絶対おすすめ。

 宇宙描写の美もさることながらこの本には地に足のついた魅力がある。想像力の旅の道中出会う奇妙に人間にとても類似した社会、文化の興亡。著者は哲学者だそうで、こういった文化観、社会観においても卓越した考察がなされている。ありきたりな宇宙探索SFとは一線を画す本だ。

 繰り返しこの本を読み続けてきているが、今だ飽きず愛読できている。もはや私のユニバースバイブルと言っても過言ではない。SFと哲学、民俗学?などの融合を宇宙的なスケールで成した傑作だと思う。復刊したものの、また品薄状態が続き価格は高騰中であるが、価値のある作品だ。高い金払っても読むことを強く強く薦める。